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 朝からこの世の終わりのように曇っていた空は、チャイムが四限目の終了を告げる少し前から冷たい雪を降らせ始めた。はしゃぐ女子にただ苦笑して見せた教師は早めに授業を切り上げて、暖房の効いた職員室へと引き上げる。我先にと教室を飛び出した何人かの生徒が、ベランダの手摺から身を乗り出し歓声を上げた。

「元気だねぇ」

 呆れ交じりの声が、落ちる。

「混ざってくれば?」

 私は皮肉混じりに笑って席を立った。

「冗談」

 自分の席を離れ私の傍に来ていたヤマブキも大仰に肩を竦めながら同じように笑って、スクールバッグ片手に教室を出る私の後をついてくる。
 廊下に出てみれば、どの教室も午前の授業を終えていた。

「私が寒いのダメなの、あんたも知ってるでしょ?」
「そうでした」

 今度は私が大げさに肩を竦める。

「私購買だから」
「うん」

 教室棟と特別教室棟の境でヤマブキと別れて、そのまま家庭科棟へ。滅多に使われることのない第二準備室に忍び込んで、内側からしかかからなくなった鍵をかけたところで、漸く、一息吐いた。
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