基本、体力勝負な外回りの仕事を終えたヴェルメリオとレギがスィアチの館――トリルハイム――に戻ると、正面の広場でやたら露出の高い女がくるり、くるり、と踊っていた。
下着姿の方がよっぽど慎み深く見えるのではないかというほど。やたらと透ける薄布を幾枚か重ねて巻きつけ、隠すべきところをぎりぎりで隠せているかいないか微妙なラインの衣装で、蝶が鳥の類が舞うようひらり、ひらり、動く度にりん、りん…と涼やかな音がする。それは手首や足首につけた鈴から発せられる音だろう…と、ある程度観察した所で、館の正面入口へと辿り着いたヴェルメリオはレギのため、重い扉を開けてやる。
凄腕の幻術使い(ただし色狂い)がわざわざ人目につく場所で踊る理由は、生憎と一つしか思いつかなかった。
目を奪われたら最後、命どころか貞操が危うい。よって関わらず、さっさと立ち去るのが吉…と、ヴェルメリオは――ぴしゃり――扉を閉めきった。
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