「あ、流れ星」
きれいだなー。
右から左。
長々と尾を引いて伸びる一筋の光を追い、リリスは視線を巡らせる。
地面からほぼ垂直方向に上昇している《グレンデル》の機内から、流れる星が燃え尽きるまでの一部始終は驚くほど鮮明に見て取れた。
〈さっきこっちで墜とした船の一部かもね〉
(どうしてそういうロマンのないこと言うかなー)
〈かも、というかそのものですね。墜落時の軌道予測と一致します〉
「――そういうことはわかってて黙っててよ」
〈ロマンチックなこと言って欲しい?〉
「…欲しくない」
〈今から君の――君だけの――ために、数えきれないほどの星を降らせてあげる〉
(ロマンチックというより物騒だー…)
〈いい加減に雑魚が鬱陶しいからね。――アベル、主砲に《重力遊戯(グラヴィティギア)》を接続しろ。重力波で薙ぎ払え〉
「こっちを巻き込まないでよ?」
〈《グレンデル》の機動なら狙ったって避けられるよ〉
(えぇー…)
それはつまり努めて避けてはくれないということだろうか。
さすがに母艦の主砲は喰らいたくない。
「アベル、重力波の影響予測」
〈――《グレンデル》の帰投予定に変更はありません〉
(そういうこと言ってるんじゃなーい)
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