「それで、」
パチリパチリと、弄ばれる緋扇[ヒオウギ]の音が久しく支配していた部屋に、主の声が落ちる。
あの妖狼のことだが。
「沙鬼[サキ]って名前らしいな」
態とらしく振られた話題に、とりあえず華月は世間話でもするような態で応じた。
すると上座で水鏡を覗いていた卑弥呼は緋扇で口元を覆い、ついと手を伸ばす。
「妾は捕獲を命じなかったかえ?」
弾かれた水鏡の水が床を濡らした。
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