淡い風が吹いた。頬を撫で去っていくその風はどこか温かく、裏腹に一切の創造を奪い去っていくような気配を孕んでいる。
「リナ?」
何故、彼女だと思ってしまったのかはわからない。ただ彼女に貰った彼女の欠片が熱を持っているような気がして、――僕は空を仰いだ。
すぐ、戻るから。
空耳としか思えない微かな言葉の後に、また、あるかないかの風が頬を撫でる。
「君らしくないね」
叶わないと知りつつ彼女を求め伸ばした手はやはり、空を掻いた。
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