01.
「呪いのノート」って知ってる? 西棟2階の空き教室にあるんだって。普通のノートらしんだけど、中には生徒の名前とクラスがびっしり。でも変なんだよ? いくら卒業生に聞いても、その中に名前が書かれてる人は誰一人見つからないし、誰もその人がクラスメイトだったことを憶えてない。おかしいよね? もし最初からそんな人がいなかったのなら、誰が、何のためにノートに書いたの? ――だからそのノートは「呪いのノート」って呼ばれてる。名前を書かれた人は、消えちゃうんだって、跡形もなくそりゃあもうすっきりと。みんなの記憶からも学校の記録からも、戸籍とかもぜーんぶ消えて、最初からいなかったことになる。誰にも気付いてもらえない。絶対に、永遠に。ノートを開けば、名前くらいはわかるけどね。
ノートに名前を書かれて、消えちゃった生徒はノートに閉じ込められて、次にノートが使われるのをじっと待つ。新しく誰かが消されたらその人は解放されて、次の人がまた閉じ込められる。「呪いのノート」はそうやって、いつ解放されるのかわからない苦しみと、世界から忘れられてしまう哀しみを消された人に味わわせる為のノート。「ソウヒ」って人にありったけの憎しみと、苦しみと、怒りと、ほんの少しの哀しみを詰め込まれ、頼まれもしないのに、私たちが生まれるずっと前から生徒達の憎しみを晴らし、苦しみを和らげ、怒りを収めてきた。ある人にとっては優しく、ある人にとってはとても恐ろしい存在。
「呪いのノート」。私たちの通う学校の、七つ目の不思議。
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