03.
クロネコは言いました。
「あなたはどうして望むのでしょう」
少女は答えました。
「それがヒトというものです」
クロネコは笑いました。
「なんと罪深い」
少女は笑いませんでした。
「クロネコさん」
クロネコは笑い続けていました。
「なんでしょう」
少女はクロネコのように笑おうとはしませんでした。
「あなたはどうして望まないのでしょう」
クロネコは哂[ワラ]うことをやめようとはしませんでした。
「それがクロネコというものです」
少女はクロネコの真実[ホントウ]を知っていました。
「なんて罪深い」
クロネコもそのことを知っていて、2人は共犯者でした。
「そう、罪深いのです」
2人っきりの共犯者です。
「何故罪深いのでしょう」
でも誰も、2人が何の罪を犯したのかは知りませんでした。
「私たちが生きているからですよ、お嬢さん」
誰も、誰もが共犯者であることに気付きませんでした。
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