織姫と彦星の話はまぁいいとして。
「どうしたのさ、それ」
他意なく不思議がっているような視線を受けて、ほんの一枝しかない笹を揺らして見せる。
「もらった」
帰りがけ、七夕にかこつけパーティーじみたことをするから来ないかと沢田たちに誘われて、断った時に「じゃあ気分だけでも」と御裾分けされた笹だ。二人分の願い事くらいなら吊るせるだろうし、そうでなくとも確かに気分は味わえるだろうとありがたく頂いてきた。
「そういう日だろ? 今日」
それをただの酔狂のように笑って差し出す。
「あと七夕ゼリーも買ってきた」
「…林檎の星が入ってる?」
「そう」
「昨日も食べたよ」
声に呆れを滲ませた恭弥に「そうだっけ?」と、とりあえずはとぼけておく。それを言うなら一昨日もだし、実のところ私は明日も食べるつもりでいる。
「君って、気に入ったらひたすらそればっかりだよね。すぐ飽きるくせに」
「飽きたら飽きたでいいんだよ。満足したってことなんだから」
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