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 普通に道を歩いていてバズーカに当たるだなんて考えても見なかった。そんな馬鹿な話、恭弥だって俄には信じてくれないだろう。

「ありえねー…」

 そもそも避けられるはずだった。それがどういうわけか当たってしまって、十年バズーカだと当たりは付けていたものの心臓に悪い。

「――何が?」

 視界を遮る煙が晴れきるより前。気配はなく、それでも極近から聞こえてきた声に飛び退いたのは咄嗟。《バタフライラッシュ》を出したのは条件反射で、けれど殺気の類がないために銃口の行き場はなかった。

「…思ってたより変わらないな」

 ひらりと舞った蝶が差し出された指先にとまって翅を畳む。

「お前…」

 ようやく晴れた煙のその向こう。見知らぬ、けれど見覚えのある顔を見つけて思わず息が止まりそうになった。

「恭弥、なのか…?」
「そうだよ」


----


「十年後の世界へようこそ」


----


 おいでおいでと手招かれて近付き方が恐る恐るになったのは、恭弥があからさまに私のことを面白がっていたから。お互いに手を伸ばせば届く距離にまで来ると手を差し出され、これにもまた恐る恐るの体で手を重ねた。

「君が十年バズーカを避けられなかったのは、この時代の君がそういう細工をしたからだよ」
「細工…?」
「詳しくは聞いてない。体に害はないし効果も一時的なものらしいけどね」
「なんだそれ」

 促すように手を引かれてソファーの隣へ。座ってみると、恭弥の方が目線が高くて妙な感じだ。

「君のすることだよ」
「…信じてるって?」
「現に成功した」

 私が無事でここにいることを示すようぐしゃりと髪を乱す。本当に何の心配もしていなかったらしい恭弥には悪いが、時代が違うとはいえ私が私にすることだ。恭弥に説明できないような荒技を使ったに違いない。要はバレなければいいのだと自己完結する自分の姿が目に浮かぶ。

「…ちょっと待て、」
「なに」

 ということは、だ。

「私はこっちに来たんじゃなくて来させられたのか」

 バズーカにあらかじめ細工がしてあったということは、つまりそういうことなのだろう。

「これから始まる計画にこの時代の君が邪魔だったんだ」
「邪魔、って…」

 それにしたってもっと言い様というものがあるだろうに。

「私って結構便利じゃないか?」
「便利すぎたんだよ」
「えぇー…」

 便利すぎて邪魔って何だ。

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