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 今にも落ちそうだった瞼をしっかりと持ち上げ、暁羽は笑った。

「リーヴがそれでいいなら、いいけどね」

 憶えていないとでも思っていたのだろうか。忘れるはずもないのに。

「ならこの話は終わりだ」

 あの日の言葉が始まりだった。私にとっては単なる気紛れ、暁羽にとってもそれは単なる戯言だったろうに、成り行きで始まった二人の関係はいまだに終わりを見ていない。終わりが訪れることさえ、それが当たり前となった今では疑わしく感じる。

「うん」

 緩慢に絡んだ指先に引かれ、頭が下がる。枕元についていた腕は折れ体は落ち、寝台の軋む音がして、世界は横転した。

「…いつからだっけ?」
「なにが」
「一緒に寝なくなったの」

 自分だけぬくぬくと毛布に包まって暁羽は目を閉じる。私はわざとらしく溜息を吐いて体を起こした。

「一緒に寝たことなんてないだろう」

 立ち上がろうとすれば文字通り後ろ髪を引かれ、振り向けばもの言いたげな視線とかち合う。

「眠っていたのはお前だけだ」
「そうなの?」

 髪をつかんだ手に触れれば拘束は思いのほか簡単に緩まり、今度こそ寝台を離れ窓際のソファーへと移動した。

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