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小噺専用
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 どこまでも無抵抗を貫いた体から、自由の次に奪われたものは一対の瞳。流れる血のように真赤な両の目。
 だから私へ「全て」をくれると言った巨人の《王》は、一番最初に「眼」をくれた。
 流れる血よりも深い紅色の、《王》が《王》である証の《印》として生まれ持った両の目を。
 だから今となっては私こそがそうだった。私の存在そのものが、彼が《王》である証。

 私だけが、リーヴを巨人の《王》――ウトガルド・ロキ――たらしめる。

 それがどれほど大それた行いか、知らなかったわけではないだろう。そうすることによって自分がどれほどのものを失うか、分からないほど愚かな人でもなかったはずだ。
 なのにリーヴは躊躇わず――ノルニルの告げた運命を辿るよう――手ずから抉り取った瞳を私へ与え、《印》は魔力に満ちた体へ根を張った。新たな器の隅々にまでくまなくその神経を行き渡らせて。
 リーヴは《印》を魔具に見立て、私を守る魔術の一端として機能させている。それくらいのことはいちいち告げられるまでもなく、誰よりも当事者である私には理解することができた。
 私の体に満ちる魔力の半分は、リーヴが生み出す《王》としてのもの。それは《印》を介して流れ込み、行き渡って、私の思い通りに操られることをよしとする。――そして同じくらいリーヴの意思にも従った。
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