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「あら・・?」



 やんわりとした声とともに霹靂[カミトキ]ははてと首を傾げた。
 何気なく目を遣った先には見知った顔と、見知らぬ顔が一つずつ。
 見知った従妹の手を見知らぬ少年が引き、寮の方へと歩いていくのが図書館の二階からは手に取るように見えた。
 気になるのは、プライドの高い彼女が人前も憚らず涙を流し、甘んじて繋がれた手を引かれるがままにしているということ。
 しかも霹靂は、もう一人の少年に見覚えがない。



「どうしたのかしらね」



 気遣うような言葉とともに表情を曇らせた霹靂の正面で、片付かない課題に追われていた夕凪が漸く顔を上げた。
 姉の優れない表情に気付いた夕凪は、彼女の視線の先へと目を向ける。



「誰あれ」



 そして首を捻った。



「あら、ナギも知らないの?」
「見たことないなぁ・・好みの顔だけど」
「私も、心当たりがないのよ」
「じゃあ転入? ・・・彩花といるあたりまたアキの拾い物だったりして」
「ナギ」
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