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 どうして気付かなかったんだろうと思いながら、知らず知らずのうち下腹部へ添えていた手を引き剥がす。

「産まないつもりか?」

 それだけで私がそこにあるものについてどう思っているか分かったのだろう。目敏い医者に「産めるもんか」と吐き捨てる。

「こんなのはただ足枷にしかならない」
「そういうもんかねぇ…」
「そもそも私が十月十日も大人しくしてられるもんか」

 大体にして人を殺し続けなければまともに生きてもいけない身の上だ。

(うっかり)


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 くるくるくるくる。手慰みに物騒なものを回すルナの視線が自分の方へ向けられたことに気付きながらも、気付いたことに気付かれたら後はもうなし崩しだとわかっていたので、文弥は努めて無関心を貫いた、

(ひまないもうと)
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