失えば生きていけないだろうと思っていた。けれど実際そんなことはなくて、私は恭弥を失った今もなおのうのうと生きている。生きて、みっともなく足掻こうとしている。
だって未来は変えられるから。
(わたしがかえる)
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「雲雀君は面白いものを手に入れたそうですね」
「…面白いもの?」
「おや、御存知ありませんか?」
「勿体つけないで教えて」
クフクフ笑う骸にいつも通り構うのが面倒な程には疲れている。けれどその理由がいつもの体調不良だと、分かっているらしい骸はお構いなしだ。「せっかちですね」とまた笑い、気遣いもなく話を進める。
「聞いたことはありませんか? 呪われた匣について」
それが正しい対応だ。
「……――あぁ、使用者が次々に死んでるっていう? それを恭弥が手に入れたの?」
「えぇ」
「ふぅん…」
「反応薄いですね」
「正直興味ない」
「まったくあなたときたら…」
「なによ」
「そのうち足元すくわれますよ」
「ないない」
(だるだる)
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