それはあまりにも唐突で、気付いた途端愚かなついさっきまでの自分を恨んだ。
「少しくらい使ったら?」
シルバーアクセサリーが好きで、そもそもアクセサリーなんて付けやしないのにいい物を見つけるたび買ってくるものだから、姉は呆れたようにそう言った。
私だって使わないのは勿体無いとは思う。だから、極偶に十字架のあしらわれたリングや、細身の、繊細な細工が施されたブレスレットなんかを、身につけてはみるのだ。
だけど、
「似合わない」
無駄に細く長い指に大好きなゴシックアクセサリーは似合わない。
「そういうのは使っていれば馴染むのよ」
姉さんはいいんだ。美人で、なんでも似合うから。
でも私は違う。私の手は、姉さんと違って汚れてる。
「――嗚呼、そうか」
そしてつい最近、唐突に気付いた。
本棚の一角に置かれた宝石箱の中には今まで買ってきたアクセサリーが無造作に入れられている。
それをテーブルの上にぶちまけて、一通り目を通したところで、疑惑は確信に取って代わった。
「似合うわけないじゃん」
最近買ったリングを一つ手にとって、苦笑を一つ。
嗚呼、なんて綺麗。嗚呼、私は何て愚か。
似合うわけないじゃないか。
「私の手は汚れてるんだから」
それは血濡れた私の手には、あまりに綺麗すぎたんだ。
「ごめん、なさい――」
大好きだよ姉さん。
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