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 白濁とした世界で消えかけた命の灯火を見た。



(死にたくない)



 手を伸ばしたのは無意識の内。
 そうさせたのは、おそらく今まで一度も顔を見せることのなかった生存本能。



(私は・・)



 生きたいか?
 ゆらりと大きく揺れた灯火。明るくなっていく視界。
 嗚呼、死ぬのか。と、それはあまりにも穏やかだった。



(生きたい)



 死は苦しいものだ。
 死は痛いものだ。
 沢山の苦しみと痛みを知った者にしか穏やかな死は訪れない。
 だから、だから・・



(生きたいの)



 たとえ本能に身を任せていたとしても、
 たとえなけなしの自我で永遠考えたとしても、



(殺さないで)



 答えは決まっていた。










 上等。










(そのために俺は命を捨てた)
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