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「遺される俺たちの気持ち何て考えてないだろ、お前」
「私は自分勝手だからな」
「よく言う」



 行儀悪く机に腰掛け片足を抱いたまま、俺は緩く目を細め左手を持ち上げた。



「ただ、」




 整った造形。
 けれどそれは自分たちを造り出した彼にも言えることで、そういえばサラの周囲で見目醜い者なんて目にした事はない。
 あくまで人間の容姿をした生き物において、に限るが。



「ただ、何だよ」



 広げた指と指の隙間から覗き見るようにして様子を窺うサラはこちらに視線を向けようとはしない。
 手には文献、視線は正面の窓から外へ。



「銀石と緋星を、頼む」
「・・・あぁ」



 例えそれが自らの命を蝕んだとしても、それがサラの望みなら俺は叶えよう。
 忠誠なんてものは誓わない。ただ、病的なまでの信頼を。



「俺もあいつ等のことは気に入ってるしな」










 サラの死期が近いことを、俺とサラだけが知っていた。










(あんたがどうしようもないくらい俺たちの行く末を気にしていることくらい、気付いてるさ)
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