「――イレイザー?」
「っ」
何故、世界は穏やかに日々を過ごすことを許してはくれない。
何故、世界は私達を放っておいてはくれない。
「待てっ」
反射的に踏み出した足は、戸惑いと驚愕に支配された心とは裏腹に体を前へと運んだ。
行く手を塞ぐように現れた男をかわす為に体勢低く踏み込む。相手は怯まなかったが、急な方向転換についてこれるほどの〝目〟はない。
「リナ・ウォーカー!」
「違う」
自分にさえ聞こえないほど小さく呟いた言葉は、誰に聞かれることもなく、風に掻き消された。
さっと走らせた視線が黒光りする銃身を捉えると同時に、培われてきた直感がそれが脅威になりえないことを告げる。――相手はプロであるが故にこんな場所で引き金を引きはしない。いつもの私なら逃げ切れると、囁く。
だが逃げてどうする?
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