「お前、いつもそんなことしてるのか?」
周囲の忠告も聞かず暁羽に勝負を持ちかけた夕立がついに酔い潰れ、テーブルに突っ伏した拍子に、空瓶が将棋倒しになってけたたましい音を立てる。
無残にもテーブルから落ち粉々に砕けた瓶はすぐに誰かが消した。
「結構楽しいですよ? やり方教えましょうか?」
「誰に試せって言うんだよ」
「それはもちろん・・」
騒ぎ疲れて眠ってしまった彩花の髪を梳きながら、蒼燈はあらぬ方へと目を向ける。
その視線の先に誰がいるのか、いちいち辿らずともわかってしまった華月は冗談、と大げさに肩を竦めた。
「後が怖いからやだね」
「そうですか?」
どことなく不満気に首を傾けた蒼燈は小さく身じろいだ彩花に再び目を落とし、彼女の額に手を当てる。
「彩花は喜びますけどね」
部屋の隅で我関せずと蹲っていた夜空がおやと顔を上げた。
意図的に意識を手放した蒼燈の体は彩花と折り重なるように倒れ、傍目からは仲睦まじいその光景に、華月は笑みを含む。
「蒼燈はまた潜ったのか」
呆れの滲む夜空の言葉には、浅く首肯することで答えた。
「他人の夢に潜るなんて高等魔術を易々とやってのけるあたり、さすが本場で育っただけのことはあるよな」
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