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小噺専用
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 室内試験なら私向きだと、楽にクリアしてしまうつもりだったのに。
 とんだお荷物を抱えさせられたものだ。

「私、一人目がいい」

 はぁーい、と子供らしくも手を上げて。別にそれが苦とは言わないけど。なんの茶番かとは思う。

「いいでしょう?」

 渋るのは年長者の二人だ。実際には私の方が年上だけど。見かけの表向きの話。

「いいんじゃね?」
「カナンが行きたいっていうなら、俺もいいと思う1」

 味方なのは子供仲間二人で、多数決ならこちらに分がある。
 追い打ちをかけるよう上目使いに見上げてやれば、「無茶はしないこと」と条件付きのお許しが出た。
 ちょろい。

「決まったか?」
「えぇ!」

 とりあえずまぁ、無茶はしない。
 てくてく狭い足場を進んでいって向きあうと、やはりこうでなくてはと思う。キルアやクラピカあたりならまだいいんだけど。年上振ってレオリオなんかに出られていたらことだ。

「ルールは?」
「なんでもいいわ。殺し合いでもする?」

 猫被りはもういいだろうと、傲慢にも言い放って笑う。後ろでうるさいレオリオのことは綺麗に無視して。

「死んだ方が負けね」
「いいだろう」

 笑う。人見知りは、これから死んでしまう相手になら平気。
 試験官が死闘の開始を告げると、囚人は真っ向から突っ込んできた。

「バイバイ」

 ぐしゃり。――側面の壁へと叩きつけられ潰れた体は人としての原形を留めない。無残な血と肉の塊としてこびりつき蝶のよう左右対称に翅を広げていた。
 ちょっとしたアートだ。血腥いことこの上ない上、アゲハがいたなら「趣味が悪い」と顔を顰めてしまうような代物だけど。上手くできた。

「私の勝ちね」

 デスマッチなら、わかりやすい。これ以上に勝敗の明瞭な勝負もありはしないだろう。
 おかげで楽ができた。


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