誰に認められることも求めずに。マイネは寝食を忘れるほど趣味へと没頭し続けた。それだけが生きる意義であるかのよう。そうしなければ生きてもいられないかのよう。手に入る限りありとあらゆる機械を破壊することによって理解しようとし続けた。そうしていつしか飽き足らず、始めてしまった。壊すために生み出すことを。破壊のための創造を。
過ちの初めはどこか。
「マイネ」
呼ばれて起きる。起きて初めて、眠り込んでいた自分に気付く。
目覚めたマイネは顔を顰めた。母譲りのあまりに整いすぎた容貌を。くしゃりと歪め、惜しみなく負の感情を垂れ流す。
「いやなゆめをみた」
「どんな?」
慰めるよう髪を梳かれて目を閉じた。マイネは夢の中でのことを反芻してから息を吐く。深々と。まったく嫌な夢を見たとばかりに。
「どこの馬の骨とも知れない人工知性に体を乗っ取られたトルメキアが話しかけてくる夢」
「それは災難だったわね」
「……」
さも真摯に慰めの言葉をかけてくる――つい先程調整を終えたばかりの新作アンドロイド――未だ名もなき少女に、マイネが真実慰められることはない。何故ならようやく終えた調整は体本体のものであって、組み込むプログラムのものではなかったから。
それは動くはずのない体。
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