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「――見つけましたよ」

 右足に嵌められた《枷》が重くて、思うように走れない。

「こんなところにいたんですか…。全く、逃げ出すなんて面倒なことをしてくれましたね」

 きっと、そのせいで追いつかれてしまったんだ。

「くだらない鬼ごっこは終わりです」

 こんな足、なければきっともっと遠くまで逃げられたのに。この足さえなければ、きっと追いつかれることなんてなかったのに。

「嗚呼、ちょっと、やめてください。大切な体なんですから。これ以上傷が付いたら使い物になりませんよ…」

 逃げたい。誰の手も届かないところまで。そして隠れていたい。息を潜めて密やかに。

「私がここまでしなければならないなんて…」

 そのまま、誰の記憶に残ることもなく消えてしまったって、いいから。

「全く、アルスィオーヴは何をしているんでしょうね」

 誰か――





 私に力を寄越せ。




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