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 光さえ届かない水牢の中、することもなくただ漂っているのは心地いい。誰に邪魔されるでもないまどろみは穏やかで、私は、ずっとこんな風に眠り続けることを願っていたのだから。
 このまま永久の眠りにつくことが出来たなら、それはどんなに幸せなことだろう。何者にも煩わされることなく、独りっきりで永遠に、穏やかな眠りにつくことが出来たら――

「……下らない、」

 瞬きするよう自然に目を閉じて、また開くと、そこは水牢の中ではなく見慣れた廃墟の中だった。人形のように放り出していた体には薄っすらと埃が積もっていたが、活動に支障はないと判断して、捨て置く。女性なら身嗜みに気を使ったらどうですと耳の奥で笑う声が聞こえたが、それすら空耳だと切って捨てた。

「眠りたい。眠れない。終わりたい。終われない」

 それは今まで幾度となく望み、砕かれてきた願いだった。何度命が終わろうと、私という存在が途切れることはなく、まどろみの刹那見る泡沫の夢だけが生きる糧。

「…何を今更」

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