心地いい揺れに目を開ける。紅い海の中、たゆたう私もまた《紅》にまみれていた。
『――――』
私は《これ》が夢だと知っていて手を伸ばす。聞こえてきた声は既に過去のものなのに、心のどこかで期待していた。
「リー、ヴ…」
「――呼んだか?」
「……」
心地いい揺れに目を覚ます。長く伸びた銀の髪がすぐ傍で揺れていた。
「暁羽」
「なんでいるの…?」
「寝ぼけてるのか?」
「わかんない…」
「仕方ない奴だな」
苦笑したリーヴは落ちかけた私を抱えなおして、視線一つで扉を開ける。降ろされたのは入り口に近いソファーの上で、下敷きにしたクッションの柔らかさにまた瞼が落ちた。
「暁羽」
窘めるように呼びながら耳元の髪を掻き上げるリーヴの手は、この上なく優しい。なのに睡魔は遠退いていった。根気強く体に教え込まれてきた《合図》のせいで、他でもない《私自身》がこれ以上の惰眠をよしとしない。
「時間だ」
一言告げられて、ローチェストの上に目をやると時計の短針は十一時を指していた。
『――――』
私は《これ》が夢だと知っていて手を伸ばす。聞こえてきた声は既に過去のものなのに、心のどこかで期待していた。
「リー、ヴ…」
「――呼んだか?」
「……」
心地いい揺れに目を覚ます。長く伸びた銀の髪がすぐ傍で揺れていた。
「暁羽」
「なんでいるの…?」
「寝ぼけてるのか?」
「わかんない…」
「仕方ない奴だな」
苦笑したリーヴは落ちかけた私を抱えなおして、視線一つで扉を開ける。降ろされたのは入り口に近いソファーの上で、下敷きにしたクッションの柔らかさにまた瞼が落ちた。
「暁羽」
窘めるように呼びながら耳元の髪を掻き上げるリーヴの手は、この上なく優しい。なのに睡魔は遠退いていった。根気強く体に教え込まれてきた《合図》のせいで、他でもない《私自身》がこれ以上の惰眠をよしとしない。
「時間だ」
一言告げられて、ローチェストの上に目をやると時計の短針は十一時を指していた。
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