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 とりあえずの満足が得られるくらい血を吸って、にやにやしていた気分の良さから一転。
 がしりと腰を抱かれ、ベルーフは目を白黒させた。

「うぇっ!?」

 きょどった。

「やっ、ちょっ…なに!?」
「お姉さん、吸血鬼?」
「そうだけどっ…」

 まさか、ついさっきまで死にかけていた雅人に熱烈な抱擁を食らうとは思ってもみない。
 抵抗しようにも、壊してしまってはせっかくの「食料」が台無しなので力加減が難しい。

 あうあう。

「俺のこと助けてくれたんだ?」

 慌てふためきながらも、間違ったことは言われていないのでベルーフは頷いた。

「ふぅん?」

 あれぇ…と、そこでようやく雲行きの怪しさに気付く。
 両手でぎゅうと華奢な魔性を抱き竦め、その目を上目遣いに覗き込みながら。己の見舞われた不条理に激怒したとしておかしくもないだろう青年は、まるでついさっきまでのベルーフのよう満面の笑みを浮かべている。

 なにこの子、怖い。
 ベルーフは背筋を震わせた。

「美味しかった?」
「へっ?」
「俺の血。夢中で吸ってたよ、お姉さん」
「あ、うん…」


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