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 傷付けられた傷付けられた傷付けられた傷付けられた!

「ツナ君。信じかけてたんだよ」

 知らない「今」のどこまでが正しくてどこまでが歪んでいるのかなんて私にはもう分からない。分からないのよ。だって知らないんだから。分かるはずなんてないじゃない。

「何をする気だ!!」
「なのに君は」

 視界が真っ赤に染まるような錯覚。くらりと揺れた身体の痛みはけれど鈍くて、そんなの当たり前だ。これは私の受けた痛みじゃない。

「やめろ!!」

 これは 私 た ち の痛みだ。

「あっ…」
「みんな!!」

 どうやったって捨てられない。捨てたくない繋がりを痛みが逆流する。

「なぜ君にだけ攻撃してないかわかる?」

 用意された運命は結局二人で一人分? そんなの嫌よ。絶対に嫌。あんな未来はもういらない。あんな絶望が欲しくて私は恭弥と一緒にいたんじゃない。

「ツナ君には初代シモンがプリーモに受けた苦しみをしっかり味わって欲しいんだ」
「…!!」

 ただ守りたかっただけなのよ。

「まだだぞ古里!」
「そう簡単にいくかよ!!」

 恭弥。恭弥。私の恭弥。私の大事なもう半分。

「――いくよ」



 ふつりと途切れた痛みに世界は色を失った。



「――アリス、」

 目障りな氷の刺をこつりと叩いて笑う。イツキは纏う空気を一変させ、右手の指輪へ冷ややかな一瞥をくれた。

「これ、邪魔よ」

 示された氷は瞬く間に溶け、拘束としての意味を失くす。

「なに…!?」
「これくらいで驚かないでよ」

 くつりと零される笑みは、誰の目から見ても明らかな狂気を孕んでいた。

「古里炎真。あなたの力は私に 届 か な い 」

 それはシモンへの宣言でありアリスへの命令であり一つの真理。イツキは笑いながら右手を掲げた。

「おいで、ヴィンチ。――形態変化」





(ふくしゅうを!)
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