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「?」


 イヴリースが派手にやらかしたせいで、倉庫の中には視界を遮るほどの粉塵が舞っていた。
 切り結んだ如月の切っ先を地に落とされた美香はすぐさま体勢を変え、身構えたが、彼女が予想した反撃はいつまでたっても訪れない。


 ――美香


「・・・」


 戸惑って、躊躇って、仕方なしに如月を下ろす。


 ――何をしたの
 ――まだ何も


 いつの間にかすぐ傍に現れていたイヴリースが、珍しくも険しい顔つきで治まりつつある粉塵の向こうを見つめている。
 美香は如月を持っていない方の手を揺らした。


「白々しい」


 次の瞬間その手の中には如月の鞘が握られ、興醒めして不貞腐れた如月は大人しく身を潜める。

 どのみち、姉妹での殺し合いは不毛だ。


「驚いたな」


 素直な感嘆と共にイヴリースが美香の手をとった。
 その意図をはかる間もなく唐突な浮遊感に襲われ、美香は如月を握る手に力を込める。


「お前、また負けていたかもしれないぞ」


 次の瞬間、二人は港の倉庫街を見渡す岬にいた。


「喧嘩売ってるの」

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