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「――遅い」


 不機嫌さを隠そうともせず一言、吐き捨てると玉藻は鋭い視線を事務所の入り口へと向けた。
 人一人殺してしまえそうな視線を向けられ肩を竦めたのは白龍で、サラは既にロッカールームへと足を向けている。


「今日のことは前から言っておいただろう」
「そうだっけ?」
「・・・」


 白々しいにもほどがある白龍の言葉に玉藻は席を立った。


「玉藻」
「付き合いきれん。私は帰るからな」


 一度は引きとめようとした嶺も、今にも殺気を撒き散らしそうな様子に仕方なく口を噤む。


「後はお前らでやれ」
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