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 水面よりもほんの少しだけ上の空間を蹴りつけ、彼女は飛躍した。


「飛んでる・・・!」


 それが「air-g」システムによるものであると分かっていても、驚かずにはいれない。
 背中に翼でもあるような滞空時間。周囲の岩を利用して目指したのは更なる高み。
 彼女はあっというまに私たちの頭上へと上り詰め、手の平を返すように容易く体を反転させた。


「遊んでるな、あいつ」


 そしてそのまま落下。
 ギャラリーからは悲鳴や歓声が上がり、私は息を呑んだ。


「――――」


 遠すぎて聞こえない、けれど彼女は何事か呟いて、真下にいた対戦相手に手を翳す。
 咄嗟によけようとした対戦相手の足元で小さく海面が跳ねた。――彼女のエアはもう持たない。





「――勝者、リース!」





 なんて綺麗なエアー。


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