さらさら降りしきる雨の冷たさが心地良くて急ぐでもなく、雨をしのげる場所を探しもせずに帰路を辿った。おかげでマンションのエントランスへ着く頃には髪も服も水を吸ってすっかり重い。
「ばか?」
「う…」
「僕にはあれだけうるさく言っておいて自分はその様なんて呆れてものも言えないよ」
「……そんな気分だったんだよ…」
「濡らしたところは自分でどうにかしなよ」
「はーい…」
「…まだ濡れてる」
「これはシャワー浴びたから」
「ちゃんと乾かしなよ。みっともない」
「お前だって自分のは放っておくくせに…」
「何か言った?」
「いいえ何も」
「かして」
「なに、やってくれんの?」
「いいからかしなよ」
「はいはい」
「――リナ」
「ん…」
「…寝るならベッドに行きなよ」
「もうちょっと…」
「何が」
「――くしっ」
「…風邪?」
「ただのくしゃみだよ。風邪なんて生まれてこの方引いたことない」
「あぁ、馬鹿だからね」
「お前それ酷くないか」
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