イツキの体は時々おかしくなる。その「時々」は決まって恭弥に会えない時だ。だから恭弥はイツキの不調を知らないし、イツキも気付かれるような下手は打たない。私は口止めされているから言えないし、骸はそれとなく気付いてはいるのだろうが、恭弥に告げ口するほどの確証は持てていないはず。
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目が覚めると世界は音を失くしていた。静寂とは違う全くの無音。これはさすがに面倒だと、思わず顔を顰めてしまう。耳はまずい。それに今日は恭弥が帰ってくる日だ。今までこんなことなかったのに。
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まずい。
『唇の動きを読んでるね』
「や…」
『聞こえてないんだろ』
「……」
『いつから』
「…起きたら…」
『どうしてすぐ言わないのさ』
「すぐ治るかと…」
『…初めてじゃないね』
「え?」
『今までにも似たようなことがあった。違う?』
「あー…」
『洗いざらい吐いてもらうよ』
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