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「イッチ年生! イッチ年生はこっちだ!」



 人のざわめきが鬱陶しい。
 ここに、自分以外の人間が存在しているという事実が不快。



「ほら、行くよ」



 前を歩くリドルが繋いだ手に力を込めた。
 逸れないように。私が立ち止まっても、決して手放してしまわないように。



「さぁ、ついてこいよ――」



 目に見える繋がりを、下さい。






























「・・・漸く帰って来たか」



 久しく沈んでいた意識が浮上する。
 けれど、まだ、再会には早すぎる。



「おかえり、レイチェル」



 おかえり、ルーラ。










 待つことはもう、苦ではない。






























「気をつけなよ」
「大丈夫」



 最悪だった気分は空を見上げた途端嘘の様に晴れてしまった。
 漆黒の中に浮かぶ星々の瞬きが聞こえる。



「ありが――」



 不自然に言葉を途切れさせルーラが背後を顧みてもリドルは何も言わなかった。
 とすると、案外気付いているのかもしれない。



「ご一緒してもいっいでっすかー?」
「フォーマルハウト」



 この既視感に。
 けれどそれはアリアに出会ったときの比ではなく、「どうぞ」と、了承の言葉が自然口をついて出た。
 咎めるように声をかけてきた少年の名を呼んだ少女は一度逡巡するようにルーラを見遣り、早く乗ろうとせがむ少年に折れ小船に乗り込む。



「すまない」
「いいえ」



 そして気付いた。



「私はトゥーラ、トゥーラ・シルバーストーン」
「で、俺がトゥーラのフォーマルハウト」



 アリアの時よりも些か物足りない既視感。その正体に。
 今度は意図的に、人好きのする笑みを浮かべルーラはその名を告げた。



「ルーラ・シルバーストーン」






























 血と血が呼び合う。









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