するりと闇から滑り落ちる。
いとも容易く《不死鳥の騎士団》本部への侵入を果たした。レイチェルは、けれど思いも寄らない人物との邂逅を果たすこととなる。
「レイチェル。おぬし…」
「よう。クソジジイ」
十数年振りの再会。
何でもないような顔をして、杖を取り出そうとするでもない。――レイチェルにとってそんなものが何の意味も持たないことをダンブルドアは知っていた。
「最近はまた随分と忙しくしてるみたいだな」
その認識を肯定するよう、何気なく広げた手の平を揺らし。目当てのものを呼び寄せる。
粒の小さいエメラルドによって装飾を施されたロケット。金色の。描かれた紋章は蛇。
「何をする気じゃ」
同時に逆の手で指を弾き鳴らし、何事か囁いた。レイチェルは愛想良くにこりと笑い、ロケットを揺らめかせて見せる。
「あんたは俺達のことなんてなーんにも分かっちゃいなかった。だけど特別に一つだけ分からせてやるよ」
その姿は足元から滲むよう消えていく。
「俺はヴォルデモートを殺したいんだ」
後には何も、気配一つ残らなかった。
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