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 隣国への商人が立ち寄るだけあって、大きさこそたかが知れているものの、活気に溢れ、宿の質もよく、素直に好ましい町だと思った。闇の気配も濃いどころか逆に薄いくらいで、だからこそ、近くの森にあれだけの魔物が集まる理由が分からない。

「おい、聞いてんのか?」

 窓の外に広がる起きぬけの町から室内へと目を戻すと、ベッドの枕元には早々と黒猫が丸まり目を閉じていた。完全に眠ってしまったわけではないのだろうが、顔を上げる気配はない。

(気にする必要はないってことか…?)
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