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「――影屍」



 今のフルベが使役する唯一の式が顕現し、即座に彼女の望みを叶えた。
 命じるでもなく成されたそれに満足げな呼気を零し、フルベは一片[ヒトヒラ]の布を風に放す。



「神風」



 発現した力がそれを千々に切り裂き、――ひとしきり笑うとフルベはすぐ傍に跪く影屍の頭に手を乗せた。
 幼い子供を褒めるよう左右に動かし、ついてこいと声をかけ歩き出す。



「主様」
「ん?」
「私は人目につきますが」
「構うものか」



 けれど不思議と、人目を引くはずの影屍を目に留めるものはいなかった。
 そこで己の肩に乗る布切れの存在に気付き、影屍はほぅ、と息を吐く。



「気付きませんでした」
「気付かれてたまるものか。まだまだ妾は現役じゃ」
「それは失礼を」



 ほろほろと、夜が啼いていた。
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