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 それは恐怖だ。









 恐怖に駆られ走る足は思うように動かず、縺れそうになる度リナは自分自身の足を撃ち抜きたい衝動に駆られた。ロスト・エンジェルを持っていれば間違いなくそうしただろうに、愛銃は今日に限ってベッドサイドに置き去りだ。
 恐怖だけがリナの思考を支配する。微かに見え隠れする理性は到底自分の物とは思えないほどに脆弱だった。これではイレイザーとして機能しない。だが今のリナにそんなことを考える余裕はない。
 夜通し降り続いた雨が止み黒く濡れたアスファルトの上を疾走する。恐怖から逃れるために。そんな物ありはしないと、リナを宥めるエキドナの声は聞こえなかった。



 静寂。それが恐怖の名。



 二人でいる事があたりまえだった。リナにとってエキドナはもう一人の自分で、同時に自分自身でもあった。自分たちの生きる世界に与えられる全ては共有され――記憶も、痛みも、激情も――互いの思考に境界線など引かれはしない。立ちふさがる全ての問題は二人で解決すべきなのだ。




「エキドナ・・・っ」




 なのに今、その声が聞こえない。その存在が見つからない。

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