忍者ブログ
小噺専用
80 80 80 80
80 80 80 80
[1159]  [1158]  [1157]  [1156]  [1155]  [1154]  [1153]  [1152]  [1151]  [1150]  [1149
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


 俺はいつの頃からか、自分の頭の上に天井があることを知っていた。そのことを普段気に留めることはないけれど、ふとした瞬間、天井は絶対のものとして俺の存在を押し潰そうとする。そして天井は、俺がその存在に自覚的である限り消えてなくなりはしない。一度自覚してしまった以上、目を背けることなんで出来るはずもないのに。
 悲観的な考え方だってわかってる。でも俺は、どう足掻いたって一度見つけた天井から逃げられる気がしない。たとえ乗り越えられたとしても、天井の上には空があり、今度こそ越えられないという絶望を味わうくらいなら、俺は――

「――いい加減にしろ」
「あでっ」

 唐突な衝撃と痛みに俺は目を覚ます。
 眠った覚えはないのに頭は雨の日の寝起きみたいに重くて、体も似たようなものだった。

「いつまでもいつまでもぐだぐだぐだぐだと…ガキはガキらしく何も考えないでぽけーっと生きてろ。可愛げのない」
「……誰…?」

 そして俺の前には一人の女。

「…私はイヴリース」

 しかも銀髪。しかも超のつく美人。

「お前は――…と言っても、思い出せないだろうな」
PR
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]