俺はいつの頃からか、自分の頭の上に天井があることを知っていた。そのことを普段気に留めることはないけれど、ふとした瞬間、天井は絶対のものとして俺の存在を押し潰そうとする。そして天井は、俺がその存在に自覚的である限り消えてなくなりはしない。一度自覚してしまった以上、目を背けることなんで出来るはずもないのに。
悲観的な考え方だってわかってる。でも俺は、どう足掻いたって一度見つけた天井から逃げられる気がしない。たとえ乗り越えられたとしても、天井の上には空があり、今度こそ越えられないという絶望を味わうくらいなら、俺は――
「――いい加減にしろ」
「あでっ」
唐突な衝撃と痛みに俺は目を覚ます。
眠った覚えはないのに頭は雨の日の寝起きみたいに重くて、体も似たようなものだった。
「いつまでもいつまでもぐだぐだぐだぐだと…ガキはガキらしく何も考えないでぽけーっと生きてろ。可愛げのない」
「……誰…?」
そして俺の前には一人の女。
「…私はイヴリース」
しかも銀髪。しかも超のつく美人。
「お前は――…と言っても、思い出せないだろうな」
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