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「あの忌々しい太陽を堕としてはくれないか」

 今日も今日とて、男は地下深く、太陽の光どころか地上の喧騒すら遠い部屋の隅で、到底叶えられそうもない願いを私に唱えた。毎日のように繰り返される代り映えのしない言葉へ、私は無言をもって答える。すると男はさも憂鬱そうに息を吐き、苛立ちを隠そうともせず髪を掻き毟った。それでも、私は無言を貫く。何故ならそれすら、毎日のように繰り返されている代り映えのしない行為の一つだからだ。毎日毎日、厭きることなく同じことを繰り返しても、繰り返しても、男はまだ繰り返す。いい加減、構う気も失せるというものだ。
 どうせ、放っておけば五分もしない内に男は膝を抱えて目を閉じる。けれどまどろむ程度の眠りは儚く、目が覚めれば男はまた唱えるのだ。私には到底叶えることの出来ない、大それた願いを。そして私は、男の願いを叶えなければならない運命[サダメ]の哀れな存在。男が永遠の落日を望む限り、私は見、聞き続けなければならない。太陽を疎み世を捨てた男のつまらない生と、身分不相応な恨み事を。
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