「…起こしちゃった?」
目が覚めたのは偶然だった。いつもなら絶対に起きないような時間。
私の顔を覗き込みながら頬を撫でていたラスティールの目が、申し訳なさそうに細められる。
「ごめんね」
謝る必要は、無い。ラスティールのせいで起きたわけではないから。けれど寝起きで渇ききった私の喉は容易に震えてくれない。無理に話そうとすれば、きっと痛みが伴うだろう。
だから僅かに首を横に振って私はまた目を閉じた。そうすれば、ラスティールが部屋を出ていけると分かっていたから。
「おやすみ、シーリン」
あるかないかの気配が扉に遮られてしまうまで、じっとしていた。ぱたりと閉じた扉の音に錠を落とす音が重なる。一瞬閉じ込められたような気分になって内心少し笑ってしまった。
もしそうなら、どれほど良かっただろう。
「――ジズ」
掠れた声で呼ぶと、ローチェストの上に置かれた籠の中から愛玩用の肩乗り竜が顔を出す。「キュイ」と一声鳴いてジズはすぐさま寝床を飛び出した。そのまま滑るように私の枕元へやってきて、首を傾げる。
「起きるから、リーにご飯頼んで来て」
「キュイ!」
身動ぎ一つせずに告げると、嫌な顔一つせずまた一声鳴いて飛び立つ。向かうのはラスティールが出ていった扉ではなくバルコニーに続く窓だ。ラスティールは部屋を出る前、いつもそこを開けていく。
目が覚めたのは偶然だった。いつもなら絶対に起きないような時間。
私の顔を覗き込みながら頬を撫でていたラスティールの目が、申し訳なさそうに細められる。
「ごめんね」
謝る必要は、無い。ラスティールのせいで起きたわけではないから。けれど寝起きで渇ききった私の喉は容易に震えてくれない。無理に話そうとすれば、きっと痛みが伴うだろう。
だから僅かに首を横に振って私はまた目を閉じた。そうすれば、ラスティールが部屋を出ていけると分かっていたから。
「おやすみ、シーリン」
あるかないかの気配が扉に遮られてしまうまで、じっとしていた。ぱたりと閉じた扉の音に錠を落とす音が重なる。一瞬閉じ込められたような気分になって内心少し笑ってしまった。
もしそうなら、どれほど良かっただろう。
「――ジズ」
掠れた声で呼ぶと、ローチェストの上に置かれた籠の中から愛玩用の肩乗り竜が顔を出す。「キュイ」と一声鳴いてジズはすぐさま寝床を飛び出した。そのまま滑るように私の枕元へやってきて、首を傾げる。
「起きるから、リーにご飯頼んで来て」
「キュイ!」
身動ぎ一つせずに告げると、嫌な顔一つせずまた一声鳴いて飛び立つ。向かうのはラスティールが出ていった扉ではなくバルコニーに続く窓だ。ラスティールは部屋を出る前、いつもそこを開けていく。
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