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「ッ、――触るな!!」

 差し出した手を、手加減無しに叩き落とされるのは初めてだった。

「ドリット!」
「呪われてる癖にっ」

 それは明確な拒絶で、否定。
 少し考えれば分かった事だと、私は自分自身の迂闊さに嗤った。けれど同時に、ほんの少しだけ愉快でもある。

「家族面すんな!」

 ずっと、言いたかった。言って、楽になりたかった。言えたら、どんなに良かっただろう。そうすれば少なくとも今ここで手を上げられる事は無かったはずだ。「家族面をしないで」と、その一言で私はこの場にいるほぼ全員の心に致命傷を与える事が出来るのだから。言って、さっさと突き放してしまえば良かった。

「――わかった」

 どうせ、とうの昔に死んだ身だ。今更何を恐れる事がある。

「消えるわ」
「待て、シーリ――」
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