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「ねぇ見て、リドル。
 サーフィールが褒めてくれたの」

 真赤に煌めく小指を見せびらかすよう差し出すと、リドルはルビーよりももっと綺麗に艶めく瞳でそれを見つめた。
 だけどサーフィールのよう褒めてはくれない。
 ちょっと顔を顰めて――またすぐ完璧な笑顔になって――「良かったね」と。
 それは――取り繕うことへ病的に慣れた男のやることにしては、酷く稚拙な――誤魔化しになってもいないような誤魔化し。――あからさまな「嘘」だった。
 私は、そんなリドルに愕然とした。
 だって「リドル」なのに。

「…褒めてくれないの?」

 生きるために愛されることを望んだ過去の亡霊は、ただ私のことをぎゅうと抱き締めて離さなかった。
 それはどこか戸惑っているようで、哀しんでいるようで、何かを諦めてしまったようでもある。
 要は、意味が分からなかった。
 リドルがいつも通りに笑って、喋って、そこにいるなら、日記帳の一つくらい何からだって守り通してあげられるのに。それさえ覚束なくなってしまったら、私を救ってさえくれない男にいったいどれほどの価値があるというのだろう。

「リドル――?」

 役立たず。
 そう罵って、ずたずたに引き裂かれてしまいたいのだろうか。
 この、私に。


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