「ご苦労様」
ヘッドセットを脱ぎ捨てて、そのままヘリから身を投げる。
恭弥に遅れることほんの数秒。難なく地上へ着地して、ばさりと上着の裾を払った。
「雲雀イツキだと!?」
ヘリに乗ると、分かっている日に制服で来るほど恥知らずじゃない。
「何故貴様が…!」
「あれくらいで私を殺せると思った?」
いけしゃあしゃあと言って退け、くすりと笑う。余裕綽々。私が死にかけてさえいないことはたった今、証明されたばかりの事実だ。
「生憎、そう簡単には死なないの。まだ若いから」
---
「イツキ」
「なに?」
「ほんとうに大丈夫なんだな」
「大丈夫じゃなさそうに見える?」
「いいや」
「ほんとにお生憎様。むしろ刺される前より調子はいいくらいよ」
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「クロームが結界の中へ連れ込まれました」
「…それって何かまずいこと?」
「通常は」
「世の中おかしいことだらけよ」
「僕の力はもう彼女へ届いていません」
「――幻覚が?」
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「――見つけた」
極々平坦に呟いて、呼びつけるまでもなく現れたヴィンチトーレを腕にとまらせる。
「形態変化」
血が熱くなるような、それは一瞬の高揚。
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「――その手を離せ。D・スペード」
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「どちらがより強いマインドコントロールを使えるか、試してみる? D・スペード。あなただって相当化物じみてるけど。魔女に勝つ自信があるのなら」
「ヌフフフフ。そういうことですか。てっきりあの魔女は死んだものと思っていましたが……あなたが…」
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「ならばあなたにも消えてもらいましょう。私の計画にタブーは必要ない」
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「アリス」
「抑え込めばいいのか?」
「出来るわね」
「お前が信じてくれるなら」
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「クローム!」
「答えなさい。あなたは誰のために生きてるの」
「わたし、は…」
「クローム髑髏!」
---
「かわいそうに。このままでは壊れてしまう」
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