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 真っ青な海に一輪の花を捧げ、冬星は目も眩む様な断崖絶壁に背を向けた。



「O come, thou Wisdom from on high.」



 波の合間に聞こえた歌声を辿る。



「And order all things, far and nigh.」



 歌声は途切れる事も、波音に掻き消されることもなく高らかに響き続けた。



「Fill the whole world with heaven's peace.」



 アルビノじみて白い髪が駆け抜ける風に攫われる。



「Repeat Chorus――」



 人の心を惑わすセイレーンの歌声にも似たそれは、冬星がこじんまりとした教会の扉を押し開けると同時に途切れた。



「なんだ、やめたの?」



 鮮やかなステンドグラスから射す日の光に照らされ、十字架の前に跪いていた綺羅[キラ]はすっ、と立ち上がる。



「歌い終わったのよ」



 整然と並べられた長椅子の最後列に冬星は腰を下ろした。



「では、白き乙女の為に鎮魂歌を」



 十字架を仰ぎ、遮られた太陽に手を伸ばし、何かを請うような表情で綺羅は目を閉じる。



「In paradisum deducant te Angeli,」



 天使たちが貴女を天国に導いて下さいますように、



「in tuo adventu suscipiant te martyres,et perducant te in civitatem sanctam Jerusalem.」



 貴女がそこへ着く時、貴女を殉教者達が出迎えて、貴女を聖都エルサレムへ導いて下さいますよう。



「Chorus Angelorum te suscipiat,et cum Lazaro quondam paupere,aeternam habeas requiem――」



 天使の群れが貴女を出迎え、かつて貧しかったラザロと共に、貴女も永遠の安息を得られますよう。










 いなくなってしまった貴方に再びめぐり逢えますよう――






























 私はここで謳います。









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