不慮の事故で十年バズーカにあたった。
「…わぉ」
火薬の臭いを伴わない煙が晴れるとそこは十年後の世界。視界がクリアになると同時にそれを実感させられた。
「馬鹿だね、あたったの?」
「うっかり叩き落としちゃったのよ…」
十年後の恭弥が目の前にいて、笑っている。それだけで眩暈がしそうなほど幸福だった。
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「風紀が乱れてる…」
「まだ何もしてないよ」
「ちょっ…」
「十年前の君ってこんなに可愛かったっけ」
「かわっ…」
「顔、まっかだよ」
「結婚、したの…」
「五年くらい前にね」
「二十歳で?」
「そう」
「恭弥が指輪してるなんて意外」
「結構気に入ってるんだ」
「そう…なんだ」
「聞かないんだ」
「誰と結婚したか?」
「うん」
「元の時代に帰ったら相手殺しちゃいそうだから聞かない方がいいと思う」
「ふぅん」
「今日はね、結婚記念日なんだ」
「へー…」
「だからって特別何かするわけじゃない。二人でホテルに閉じこもってだらだらしてるだけ」
「……」
「まだわからない?」
「なに、が?」
「君だよ」
「へ?」
「僕の結婚相手」
「だって私達、」
「戸籍上僕の双子の姉は五年前に死んでるんだ。そして僕はほぼ同時期にどこの馬の骨ともしれないイツキと結婚した」
「……うそ、」
「本当だよ。だいたい君が四六時中張り付いてるのに他の女が僕に近付ける訳ないだろ」
「それはそうだけど……え…えぇー…」
「嬉しいなら素直に嬉しがりなよ」
「正直複雑」
「どうして?」
「私がしたがったの? 結婚」
「酔った勢いでね」
「それで恭弥頷いちゃったの!?」
「酔った勢いでね」
「あ、あぁー…ごめん」
「別に」
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