ザァザァと、音がする。降りしきる雨にも似た水の音。それはすぐそばで聞こえていて、その向こうから誰かが私を呼んでいた。
それが誰かなんて、考えるまでもない事だけど。
「ルーラ」
もう一度、今度はさっきより近くで呼ばれる。さっきより近くて、少しだけ不機嫌そうな声だった。
「…なぁに?」
「なに、じゃないよ」
雨の音がぴたりと止んで、火傷しそうなほど熱い手の平が頬に触れる。驚いてびくりと体を揺らしたら、声の不機嫌さが増した。
「冷たい」
「…そう?」
「死人みたいだね」
「そんなに私の事殺したいの?」
「殺されるような事してる自覚は?」
「死なない程度になら」
「…よく言うよ」
確かめるように濡れた髪を何度か梳いて、リドルは杖を抜いた。
「いい加減目を開けなよ」
抜く、気配がした。
「でないと乾かしてあげない」
「このままでいい、って言ったら?」
「真水の次は熱湯のシャワーを浴びたい?」
「…きゃあ」
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