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 帰る場所は今も昔もない。けれど、少なくともついさっきまでは私のことを知る人がいた。
 カグヤという傀儡師[クグツシ]の一族を束ねる妖怪ではなく、私という個人を知り尊重してくれる彼は、もういない。
 ついさっき失われた。私はただ哀しむでもなくその存在が感じられなくなるのを見過ごした。



「私と来る?」



 きっと助けようと思えば出来た。でも、私はそれをしなかった。



「私と一緒にいてくれる?」



 きっと貴女は彼の代わり。でも貴女はそんな事知らなくていい。
 ただ私の側にいて、離しかけて、幸せそうな笑顔を振りまいて。
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