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 頻繁に血を摂取しなければ肉体を保つ事すら出来ない。
 なんて半端な体だ。幾度となく繰り返してきた言葉をもう一度吐き捨てて、歩く事を放棄した。
 もう何日も前から人間の姿に変わっていない。ともすれば擬態の仕方を忘れたか。



(・・何を馬鹿な)



 人間の姿が本体なんだ。今の姿が擬態であって。
 あぁ、今度こそ死んでしまう。今まで経験してきた飢餓とは明らかに違うそれは俺を死へ導く。躊躇う事無く速やかに。



「――リア」



 そんな時、唯一今の状況を打開できる存在の声を聞いた。



「貴女は・・」



 人でない体のまま自嘲する。また俺は生き残るんだ。
 今までと同じように、本能のまま血を喰らい相手を塵にする。



「私に助けろって言うの?」



 もう嫌だ。そう叫ぶ心とは裏腹に体は本能に忠実だった。



































 全ては一瞬の出来事。



「ッ――」



 闇が肥大したんだ。
 私は壁に押し付けられて、両手を背中でまとめられた。
 腰に回された手はあまりの唐突さに動きを止めた体を引き寄せて、首筋に――



「騒ぐな」



 痛みともつかない衝撃が走る。



































「・・・」



 なんて後味の悪い食事。
 体には力が漲っているのに、それはあまりにも空虚。
 罪もない脆弱な人間を犠牲にしてまで生きるほどの魅力がこの世界にはないのに、俺の体は生を望む。
 もうすぐ塵となって消えてしまう、名も知らぬ人間を強く強く抱きしめた。



「さ、いあく・・」



 そして息を呑む。



































「生きてる・・のか?」
「・・・殺してくれればよかったのに」



 この呪われた血に死なんて解放は望めないのだから。
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