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 白銀の輝きが天へと伸び、掻き消える様をその目に焼きつけた女は、残された少女が呆然と立ち尽くし一向に動こうとしないことに対してつまらないなと一人呟き、残された力の残滓を辿るように視線を巡らせた。
「随分と〝飛んだ〟な」
 感嘆とも、嘲りともとれる響きが大気を揺らす。
「…声くらいかけていくか」
 無造作に振り上げた腕が纏う力によって、無残にも切り裂かれた空間へと進みながら、女は月光を紡ぎ上げたような銀糸を揺らし、嗤った。

「――面白いものを見せてもらったよ」

 切り裂かれた空間はすぐに女を別の空間へと吐き出す。絶大な力によって抉じ開けられた「通路」は、世界の自己治癒能力によって女が通り抜けると同時に閉ざされた。
「…イヴリース…」
 多大なる驚愕と、少しの不安に見開かれたスカイブルーの瞳。
「随分と永い事眠っていたな、ゼロ。もう目覚めないつもりかとおもったぞ」
 さも、友人を心配する友のような顔で、女――イヴリース――は告げる。
 零は和斗を抱く腕に力を込めた。
「嗚呼、心配しなくていい。お前の大事な〝御主人様〟に手を出したりするものか」
「貴女は気紛れよ」
「否定は出来ないな。ただ、この件に関してはこれからも変わらない。私はお前の幼いマスターを決して傷つけたりしないし、うっかり殺してしまったりもしない」
 聞き分けのない子供に言い聞かせるような話し方が、イヴリースの真意を読み取りにくくする。
「これでも私はお前の事を気に入っているんだよ? 零。なにしろお前は、私をモデルに造られたんだから」
「…いいわ」
 
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