忍者ブログ
小噺専用
80 80 80 80
80 80 80 80
[761]  [760]  [759]  [758]  [757]  [756]  [755]  [754]  [753]  [752]  [751
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『へ?』



 あまりにも唐突で今更な問いに、俺は思わずちょっかいを出していた防壁迷路に足を引っ掛けた。



『・・・・あちゃー』



 けれど面倒な事になる前に誰かの手が、俺を生命の危機ちっくな危険から引き上げる。



『何やってるのよ』
『我等がジャンヌ様はご機嫌麗しゅう?』
『退屈よ。それに、そんな名前で私を呼ぶのはジルドレイだけで十分』



 オルフィーラ。ケルベロス曰く「聖女」であるジャンヌ・ダルクが、そこにいた。
 退屈と言うわりには楽しげに微笑し、体中に凝った細工の装飾――なのに全てが彼女に調和しているように思えるのは、その存在が特別だからなのだろうか――を身につけたオルフィーラは優雅に肩の髪を背へ払う。



『素子がさ』
『・・あぁ、あの物好きな子』
『あんたほどじゃないって』
『それで? あの子がどうしたの』




『俺に「名前は?」って聞いてきたんだよ』



『・・・・』
『でさ、驚いて思わず防壁迷路に、こう・・』
『あの子、名乗りもしない貴方に脳潜入許してるの? 呆れた』
『許してる、って言うけどさ、実の所素子に拒否権なんてないじゃん』
『・・・はぁ』
『何だよその溜息』
『なんでもないわ』



 くしゃりと俺の頭を撫でて、オルフィーラはそのまま何の前触れもなく姿を消した。



『気になるじゃん』



 残された俺は撫でられた髪を押さえつけながら、途切れてしまった繋がりを捜す。
 防壁迷路に引っ掛かった瞬間思わず電脳通信を切断してしまったけれど、気紛れな俺はよく急にふらりと消えることが多いから、きっと素子は気にしてない。



『ぉ、いたいた』



 素子と俺とを繋ぐそれは、イメージ的には海の中を漂う一筋の光。
 さっきまでいた場所から動いていない素子の電脳に飛び込んで、いつもの様に声を上げた。



『たっだいまー』



 情報の海に自然発生した俺に名前なんて物はない。



『なぁなぁ素子、素子サン』



 だけど不便だって言うなら好きなように呼べよ。お前が呼ぶなら、それはきっと俺の本当の名前になるから。



『俺に名前付けてよ』



 そして俺はただの「ネットの人」から一人の「ネットの人」になって、また新しい世界を知る。



































 俺が生まれ変わるその瞬間、全ての人が幸福であらんことを。















(「オルレアンの乙女」ってジャンヌ・ダルクの異名なんだぜ)
(受容されてなきゃ長時間の脳潜入なんて面倒なだけよ)
PR
Comment
name 
title 
color 
mail 
URL
comment 
pass    Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]