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「おまっ・・相手は子供だぞ!」
「どうかしら」



 琥珀を担いだ柘榴を残しルヴィアは低く地を蹴った。
 まるで蝶の様に羽化しようとした翼手の一体を切り刻み、腕についた返り血を舐め上げる。



「柘榴、琥珀に傷なんてつけないでね」



 飛びかかってきた翼手を蹴り飛ばし、真っ二つにし、銃弾を受け尚立ち上がるそれを切り刻む。大量の翼手を相手にするのはこれで二度目。



「あーあ」



 耳朶を打つ懐かしい声にファントムのいたバルコニーを仰いだ。



「サフィア」
「久しぶり、ルヴィア姉さん」



 手摺の上に腰掛け、サフィアは立てた膝に寄りかかる。



「本当に・・」



 タンッと高く跳びルヴィアはバルコニーに消えた。
 先に行け。と視線だけで他のメンバーに促し、柘榴もすぐにその後を追う。



「これが何か分かる?」



 体の向きを変え、手摺から降りたサフィアは銀色の鎖が覗く胸元を肌蹴た。



「Silver Rose・・」



 ルビーレッドの義眼に暗い光が宿る。
 左手の短剣を逆手に構えなおし、バルコニーの床を蹴ったルヴィアにサフィアは笑った。
 仰け反る様に体を反らし、手摺に手をつくとそのまま体を宙に投げ出す。



「返して」
「誰が」



 追い縋るように手摺を蹴ったルヴィアの後姿を見送り、柘榴は苛立たしげに舌打ちした。



「何であいつが」



 サフィアがサーベルを抜いたのだろう、下からは不規則な金属音が聞こえてくる。



「・・殺されに来たのか」



 アステリズムの現れたルヴィアが【Silver Rose】最強である事を誰も否定出来はしない。だから誰もが彼女の力を封じようとした。



「・・・」



 到底封じられるような物でもなかったけれど。
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